2018年ロシアワールドカップグループDを徹底プレビュー。
メッシを中心とした攻撃力が大会ナンバーワンのアルゼンチンに、強固な守備力を武器に高い組織力で戦うアイスランド、メガクラブで活躍するテクニカルな選手が数多く揃うクロアチア。また昨年の11月に親善試合でアルゼンチンを撃破したナイジェリアが同組となった。
- アルゼンチン FIFAランク5位
- クロアチア FIFAランク20位
- アイスランド FIFAランク22位
- ナイジェリア FIFAランク48位
このグループは三つ巴の予選となる可能性が高い。メッシを中心としたアルゼンチンは守備力に不安がある。だが、メッシとの組み合わせの最適解は見つかっていない印象。また、度重なる監督の交代による起用法の変化から連携不足も前大会ほどではない。
モドリッチらビッグクラブで活躍するテクニシャンが中盤を支配するクロアチアは黄金世代が最後のワールドカップとなるだろう。グループ予選突破も現実味を帯びている。
EURO2016大会でベスト8の快進撃をみせたアイスランドは強固な守備力が売り。著名な選手はいないものの高い組織力は大会出場国の中でも上位に位置する。初出場ながらサプライズを起こせるかはDFのシグルズソンにかかっている。
アフリカと言えば個人技に頼ることが多いアフリカ勢だが、ナイジェリアは違う。チーム戦術がしっかりと構築されている。3大会連続出場となりワールドカップの常連となりつつあるが、あらたなアフリカ勢の戦いでベスト8の進出を目指す。
グループDの展望
このグループは予想がしにくい。スーパースターを並べるアルゼンチンはとても強力だが、中盤と最終ラインは決してタレント揃いではない。マスチェラーノの負担が大きく、短期間で激しい試合を行うワールドカップでは1人の力はある程度まで削がれてしまう。
メッシが代表のエースとなってからいままでに一度も栄冠を勝ち得ていないのはやはり攻撃陣の組み合わせの最適解がいつまでも見つからず、守備にも力を使ってしまうからだろうか。
今回アルゼンチンが戦う各国をみるとテクニシャン揃いのクロアチアは相性が悪そうだ。加えてナイジェリアとは11月に行ったテストマッチで敗戦しており、個人技と体格を活かした攻撃に弱いことが露呈している。対アイスランドを見たときも、同チームは欧州予選やEURO大会を通して強豪にカウンター攻撃で成果を残してきており、メッシに頼るアルゼンチンが圧倒できるとは思えない。
以上のことを踏まえるとアルゼンチンがまさかの予選敗退になる可能性のある組み合わせといえるだろう。
個人的なグループ予選の結果予想
- クロアチア
- アルゼンチン
- ナイジェリア
- アイスランド
攻撃力があるものの守備に不安がのこるアルゼンチンはクロアチアに苦戦すると予想。ナイジェリアもリオ五輪銅メダルの若手を中心とした選手構成で勝ち点を奪える力をもっている。
アイスランドは経験不足に加えて選手層の薄さを考慮して最下位とさせていただいた。とても予想が難しい組だ。
エースメッシをどこまでサポートできるかがすべての鍵 アルゼンチン
- 1戦目6/16 VSアイスランド 日本時間22:00~
- 2戦目6/21 VSクロアチア 22:00〜
- 3戦目6/26 VSナイジェリア 27:00〜
攻撃陣の顔ぶれは超ワールドクラスであるものの、守備力は中堅国クラスしかないというアンバランスな陣容。
大会上位へ食い込むのは正直厳しいものの予選は突破できる出来るだけの力を持っている。マラドーナの大会となった1986年大会以来の戴冠を得るためには守備力の向上と攻撃陣の組み合わせの最適解を見つけ出すという難儀な課題が残っている。
メッシが怪我によって出場しなかったスペイン戦(●1−6)をみるといかに彼に頼り切りなのかが明確で、監督が「アルゼンチンは私のものではなく、メッシのもの」と宣言するほどである。脇役となるアタッカーがディ・マリア、アグエロ、イグアインと超がつくスーパースターだけに、メッシのでき次第という悲しい実情である。
守備陣はここ数年でマスチェラーノの衰えが顕著で3バックを本大会では採用しない公算が高い。南米予選でも苦戦したように守備の時間が長くなるようだと厳しい戦いになるだろう。
テクニシャン揃いの黄金世代に若手が加わり競争が激化クロアチア
- 1戦目6/16 VSナイジェリア 日本時間28:00~
- 2戦目6/21 VSアルゼンチン 27:00〜
- 3戦目6/26 VSアイスランド 28:00〜
近年のワールドカップでは最も選手層に厚みがある陣容となった。直近のテストマッチではいままで主力だった黄金組がクラブ事情から出場できず仕方なく若手を中心にテストを行った。ペルー線では破れたものの、カウンター主体の戦術でメキシコを破ると一定の手応えを得たようだ。
大会本番では相手の出方次第でリアクション型とポゼッション型を組み合わせる可能性があり、戦術の幅が広そうだ。日程的にも恵まれていると言えよう。初戦でナイジェリアを叩けばあとの2戦で勝ち点1を稼げばグループ突破の見込みが出るので強固なアイスランド相手に全力を注いでグループ予選を突破したいところ。
中盤の陣容は大会トップクラスだけにどこまでゲームをコントロールし、フィニッシュするかが鍵となりそうだ。
EURO2016大会のようにサプライズを起こしたい アイスランド
- 1戦目6/16 VSアルゼンチン 日本時間22:00~
- 2戦目6/22 VSナイジェリア 24:00~
- 3戦目6/26 VSクロアチア 27:00~
EURO2016年大会ではグループ予選を突破し、更にはイングランドを破りベスト8を成し遂げた同国は勢いそのままにワールドカップ初出場を勝ち得た。
戦術のベースは欧州選手権から変わらず堅守速攻を貫き、強豪国にも物怖じしない守備力は同じヨーロッパでは守備が伝統のイタリア以上といっても過言ではなかった。
有名プレイヤーはいないものの、チームの成熟度が高く、キープライヤーの負傷離脱などもないことから万全な準備期間を経て本戦に挑める。
ワールドカップでの初戦がアルゼンチンと守備力を見せつけるにはうってつけの相手となるだろう。ここで相手(特にメッシ)を封じ込むことができれば残りの2戦では同レベルの攻撃陣はいないため行きよいをつけることができるだろう。守備力を武器に守り抜いて勝ち点を得たい。
リオ五輪銅メダルメンバーを軸に若手主体で挑む ナイジェリア
- 1戦目6/16 VSクロアチア 日本時間28:00~
- 2戦目6/22 VSアイスランド 24:00~
- 3戦目6/26 VSアルゼンチン 27:00~
選手個人の所属クラブは決して有名でなく”ノーブランド”と言える売り出し中の選手が多い。
2年前のオリンピックでメダルを獲得した際に主力となったメンバーが中心でとても若いチーム編成となっている。
我々日本人がおもにイメージするアフリカ勢の特徴でる個人技だよりのチームではなく、チームの主軸は統率された守備にある。サイドのアタッカーに自由が与えられているものの欧州仕込みの戦術的チームと言っていいだろう。
今大会であらたなアフリカ勢の戦い方を披露する。
メッシが悲願の戴冠を勝ち得るのか 予選からチームの成熟を促す
グループDの注目国はメッシなのは間違いない。
残りの3国だけでなくアルゼンチンまでもすべての結果はメッシ次第といっていいだろう。前回大会のように予選から3戦連続でMOMの活躍ができればメッシの大会になる可能性が十分にあり得る。
年齢的にも今回大会が独力で試合を打開できるだけの能力をもつ最後の大会になる可能性があるので、クラブでは数々の栄冠を得たメッシがワールドカップという大舞台でどこまで活躍できるか注目していきたい。